2000年8月6日、日曜日の早朝の出来事。
散歩から帰った旦那は 子猫を抱えてうろたえていた。
散歩道にひっそりと横たわっていたのを見つけ、拾い上げてきたのだった。
子猫というよりも赤ちゃん猫である。
ほとんど動かない小さく軽く痛々しい赤ちゃん猫だった。
目はウミのようなもので固まっているかのようでもあり、鼻もグジュグジュだ。
弱々しい呼吸、全く鳴かず 元気はない。
猫用の哺乳器を買いに行き、猫用ミルクを与える。赤ちゃん猫なので、湿らせたティッシュでオシッコの出口あたりを刺激して排泄を促す。
この翌日から獣医さんへ通い、点滴で栄養を入れ 目薬をさし 骨折の治癒を案じる日々が始まった。
名前は、「にぃにぃ」とちいさく細かく鳴くので にぃにぃ。
|
哺乳器の乳首にしっかりと舌を巻いてミルクが飲めるようになってからは、すくすくと育ってくれた。
わが家へ来て10日ほどにもなる頃には、クチの周りをベトベトにして 離乳食も少しずつ食べてくれるようになった。
まとめて眠るようにもなってきて生活時間も安定。
好奇心が旺盛で、後ろ足がポッキリと折れているにもかかわらず遊ぼう遊ぼうとする。
レントゲンを見ても、まだまだ骨はくっついてはいない。
激しく遊ばせるわけにはいかないが、おもちゃを目で追って楽しむ程度で我慢していただいた頃でした。
なんとも可愛らしい後姿のこの写真を見るたびに、昨日の事のように思い出されます。
・・・あの頃は、私も寝不足だったな〜と(笑)
赤ちゃん猫を育てる場合も、やっぱり おちおち熟睡していられないものです。
|
子猫の特権で、にぃにぃの骨折は約2ヶ月ほどで完治した。折れていた骨は、他の骨よりもやや太くなったが これからどんどん成長していくのだから大丈夫。
活発で俊敏、神経質で相当な甘えん坊である。
この年の秋になるころには、旦那はにぃにぃを溺愛し始めていた。
「猫は苦手、ちょっとコワイ」と猫好きではなかった旦那だが、にぃにぃが彼を変身させたのだった。
今でも夫婦喧嘩から別居話などにふれると旦那は、「にぃにぃだけは渡さん!」と言って強気に出るのだった。
にぃにぃ的には、一番そばに居て欲しいのは うちの息子なのだ。
息子に対する鳴き声は、そのほかに対する鳴き声とは全く異なる。
息子が玄関ドアを開ける1分ほど前からにぃにぃは玄関へ行き、きちっと座ってドアが開くのを待っている。
毎日にぃにぃは、息子の足音を待っている。
|
すっかり大人になったにぃにぃ。
今では4匹のメスに囲まれ 夢のハーレム生活を送っている・・・な〜んてのはやっぱり夢である。
食事は全てのメスが食べ終わるまで、必ず 離れたところでそっと待っている。
全てのメスが好き勝手なところで寝そべって落ち着いてから自分の居場所を決める。
どんなに気持ちよさげに寝ていても、周囲をメスたちが走り回っていると 起きて彼女たちの邪魔にならないところへ移動して穏やかな目をして見守っている。
・・・。
いいのか にぃにぃ、いいのか それで。
キミがそれで幸せだったらそれでいいのだが。
まるで人間社会の男女の様相を縮小して見ているかのような気がするのだ。
※目の白濁は写真に写っていない片方だけ残りました。そちら側の視力はほぼ無いようですが普段の暮らしには何の支障もありません。ヨカッタヨカッタ。
|